ニュートロ ワイルドレシピ ドッグフードの批評(ドライ&ウエット)

2019年10月21日

ニュートロ ワイルドレシピ 成犬用 ターキー

ニュートロ ワイルドレシピ ドッグフードはいぬわーんで中間評価の3.5つ星を獲得しました。

評価:

ニュートロ ワイルドレシピ ドッグフードはドライが6種類、ウエットが4種類あります。以下はその全10種類と評価をまとめた表になります。表の成長段階に書いてある記号はそれぞれの頭文字を取ったもので【G=子犬、M=成犬・老犬、A=オールステージ、U=不明】の意味があります。

また、ここでは全10種類を代表してワイルドレシピ 成犬用 チキン を批評していきますが、他の種類の批評が見たい場合は表中の内部リンクを利用してください。

原材料とラベルの分析

ドッグフードを選ぶ際には原材料に書かれた上から最初の10品目を見てください。原材料の表示は原則、重量順です。つまり、最初に書いてあるものがもっとも含有量が多いのです。

原材料:チキン(肉)、チキンミール、エンドウマメ、乾燥ポテト、鶏脂*、タピオカスターチ、ビートパルプ、乾燥チキン、エンドウタンパク、タンパク加水分解物、ターキーレバー、ポークハート、ポークキドニー、亜麻仁、アルファルファミール、ビタミン類(A、B1、B2、B6、B12、D3、E、コリン、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、葉酸)、ミネラル類(カリウム、クロライド、セレン、ナトリウム、マンガン、亜鉛、鉄、銅)、アミノ酸類(メチオニン)、酸化防止剤(クエン酸、ミックストコフェロール、ローズマリー抽出物)*ミックストコフェロールで保存

赤字は物議をかもします。

粗灰分=9.5%以下, 粗繊維=3.5%以下 (推定乾物繊維量=3.9%), 水分=10%以下

測定方法タンパク質脂質炭水化物
保証分析値32%以上16%以上NA
乾物基準35.5%17.8%36.1%
熱量基準32%39%29%

このドッグフードの最初と2番目の原材料はチキン(肉)、チキンミールです。

ワイルドレシピは高タンパクが特徴で ”ミートファースト” を謳っています。原材料の一番目がチキン(肉)なので「たしかにな、間違っていないな」と思うのですが、タンパク質量で考えるとチキンミールのほうが圧倒的に多いと思います。

チキン生肉は約7割が水分で残り3割がタンパク質等です。3割の中にしかタンパク質がないのですから、いくら重量順表示で原材料の最初でもチキンミールのほうが圧倒的にタンパク質量が多く含まれています。実はこのフード、メインのタンパク質源はチキンミールです。

チキンミールがメインのタンパク質源なのが悪いわけではありませんが、”ミートファースト”と高々に宣言しているから「でも本当はチキンミールのほうが動物性タンパク質いっぱいだよ」と言いたくなりました。

ミートミールの品質は製造業者に依存しています。チキンミールという名前からでは使用している鶏の部位とその比率が分かりません。ただ、ニュートロジャパンには食用とされない鶏の足・頭・羽、副産物ミールは不使用と書いてあるのでチキンミールの品質は担保されていると考えていいと思います。特に副産物ミールの部分を書いたのはミートミールの品質を意識していないと書かないでしょうから。

3番目と9番目の原材料はエンドウマメ、エンドウタンパクです。

マメ科の中でえんどう豆は炭水化物を多く含むグループに属しています。繊維質も多く含んでおり、そのほとんどが不溶性食物繊維です。

エンドウタンパクは原材料表示の9番目ですが、えんどう豆と同じ性質なのでここで一緒に書きます。

エンドウタンパクはえんどう豆のタンパク質のみを抽出したもので犬の必須アミノ酸をすべて含んでいますが、メチオニン・トリプトファン・ヒスチジンの含有量が少なく、アミノ酸バランスが良くありません。このような食材はアミノ酸の調整やタンパク質の数値を上げるために用いられます。

4番目の原材料は乾燥ポテトです。

ポテトの主成分はデンプン(炭水化物)なので乾燥ポテトも優れたエネルギー源です。ただし、乾燥ポテトは水分をほとんど含まないのでタンパク質の割合が増えます。ポテトタンパクは犬の必須アミノ酸10種類をすべて含んでいますが、エンドウタンパクと同様に一部のアミノ酸が少ないので動物性タンパク質と比べると劣っています。

5番目の原材料は鶏脂です。

鶏脂はチキンミールの製造過程で搾油された油でオメガ6脂肪酸(リノール酸)の供給源です。

保存料にミックストコフェロールが使われています。愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律(ペットフード安全法)では原材料の段階で何を使って保存していたのか書く必要性はないのですが、一般的に人工酸化防止剤は不使用だとアピールしたいときに書かれています。ミックストコフェロールは自然由来の酸化防止剤で犬への健康被害はないとされます。

6番目の原材料はタピオカスターチです。

タピオカは成分のほとんどが炭水化物(デンプン)でタンパク質も脂質も含んでいないため、純粋な炭水化物源です。

7番目の原材料はビートパルプです。

ビートパルプは砂糖大根(てん菜)から砂糖を抽出した後に残る繊維カスです。食物繊維源ですね。水溶性食物繊維と不溶性食物繊維のどちらも含んでいます。

このビートパルプ、硫酸系の薬品を使って安価に抽出する方法があり、残留薬物の危険性が指摘される場合があります。ビートパルプの名前だけでは抽出方法が分からないので良し悪しに関して議論あります。

ブランドによっては公式サイトにビートパルプの抽出方法が明記されている場合もありますが、ニュートロジャパンでは書かれていません。ビートパルプが気になる方は、このフードを選ばないほうがいいでしょう。

ここでのビートパルプの扱いに関しては評価に悪影響を与える食材としては扱いません。あくまで繊維源としての評価を下します。

8番目の原材料は乾燥チキンです。

日本では乾燥チキンもチキンミールも一緒に扱われますが、原材料の2番目にチキンミールがあるので本当の乾燥チキンでしょう。水分を除去した鶏肉はタンパク質の変性が少ない良質な食材です。

10番目の原材料はタンパク加水分解物です。

これは動植物のタンパク質を加水分解して得られたアミノ酸のことで独特のコクや旨味を持つことからキブルに噴霧して嗜好性を高めるために使われています。別名ではナチュラルフレーバーとも呼ばれています。

ここまで原材料をリストの上から順番に見てきました。この製品には他にも多くの原材料が含まれていますが、これよりも下に位置する原材料は評価に影響を与えそうにありません

ただし、6つの例外があります。

まず、臓器肉(ターキーレバー、ポークハート、ポークキドニー)です。

全般的に臓器肉は精肉と同等のタンパク質を含みながら脂質は少なく、ビタミンとミネラルを極めて豊富に含んでいます。また、臓器肉は独特の風味があるため、食欲増進にも期待できます。

ただ、臓器肉の中でもレバーは解毒器官を担っているので七面鳥が何を食べて育ったのか、成長ホルモンを打たれたのか等の説明があるとよかったです。原材料のクリーンを謳っているなら必ず公式サイトに書いてあるはずなのですけど、ニュートロジャパンには書いてないんですよね。

次に、亜麻仁です。

亜麻仁は種実類で亜麻の種子です。必須脂肪酸一つ、αリノレン酸(オメガ3脂肪酸)の供給源です。αリノレン酸は体内で同じオメガ3脂肪酸に分類されるDHA,EPAに変換して利用されますが、変換率が低いので既成のDHA,EPAに比べて摂取効果が低いと指摘されています。

次に、アルファルファミールです。

アルファルファは和名でムラサキウマゴヤシと言われるマメ科の新芽でウマゴヤシ(馬肥やし)から分かるように栄養豊富です。ミールになっているので乾燥させて細かくしてありますね。

タンパク質はえんどう豆と同レベルで含んでおり、最大で重量の50%まで含有しています。タンパク質の多さからかさ増しの一種と見なすこともできますが、ビタミンやミネラルと多量の葉緑素(クロロフィル)を含有しているので栄養補助と見なすこともできます。

次に、アミノ酸類(メチオニン)です。

このフードのメインの動物性タンパク質はチキンミールでしたよね。ミートミールは高温加熱して製造するのでタンパク質が変性して利用できない形になっている可能性があるため別途メチオニンを足していると考えられます。

メチオニンは必須アミノ酸でタウリンの合成にも必要なアミノ酸です。不足すると困るので足してあるのは安心材料になります。

最後に、酸化防止剤(クエン酸、ミックストコフェロール、ローズマリー抽出物)です。

ミックストコフェロールとローズマリー抽出物は問題ありませんが、クエン酸は懸念点があります。それはクエン酸が配合されたドライフードに水を加えて与えると胃拡張・胃捻転(GDV)になる可能性が高まる研究結果*があります。

この研究はハイリスクの胸部の深い大型犬を対象としていますが、小型犬でもダックスフンドのような腹部が深く幅が狭い体型をした犬種はGDVの発症率が高くなります。

* アメリカPurdue大学獣医学部のLarry Glickman博士による胃拡張・胃捻転の既往歴のない大型犬11種類1,914頭の犬を対象とした犬の胃拡張・胃捻転に関する対照研究。

Risk Factors for Canine Bloat
https://www.vin.com/apputil/content/defaultadv1.aspx?pId=11165&id=3848657

ニュートロ ワイルドレシピの原材料・保証分析値はパッケージに書いてありますが、どこで原材料を仕入れて、どのような品質管理が行われているかなどの生産に関しての情報はパッケージから分かりません。

ドッグフードは人間が食べる食品と違って軽視されているので企業がどのように安全性と品質管理をしているのか、情報を得られる企業サイトを確認しておきましょう。良質のフードは消費者に対して信頼と安全を確保するために情報公開を行っている場合が多いです。

  • ワイルドレシピは高タンパク、グレインフリー。
  • 日本向けの独自ブランドサイト(https://nutro.jp/)があります。
  • ニュートロは1926年に南カリフォルニアで創業し、日本ではグループ企業のニュートロジャパン合同会社で販売していましたが、今はマースジャパンリミテッド社に吸収合併されています。
  • ミートファーストです。第一原材料に必ず肉や魚を使用しています。
  • 副産物ミールや鶏の首・足・羽といった食用とされない部位は使用していません。
  • 化学合成物・着色料は使用していません。
  • 自然由来の酸化防止剤だけを使用しています。また、製品だけではなく、油脂原料にも自然由来の酸化防止剤を使用しています。
  • イギリスのウォルサム研究所の協力のもとAAFCOの栄養基準を満たしながら、最新の栄養学に基づいた栄養基準を設定しています。
  • すべて自社による原材料調達・製品製造、品質管理を行っており、その一つひとつの工程で厳格な品質基準を設けています。
  • 主原料は100%自然素材です。生産者を厳選して顔を知らない生産者とは契約していません。原材料には厳しい品質基準を設けており、納入の際にも検査があります。
  • 同じ食材でも調理方法が異なれば味が変わるので食材のブレンド方法(配合や製法)にこだわっています。
  • 製品の輸送では一貫した管理体制を敷いています。自社製品のみを載せる専用コンテナで直送しています。
  • 日本独自の品質規定をクリアしています。ペットフード製造/輸入会社として責任を持ち、日本向けの製品の厳格な品質管理を実施しています。

参照:https://nutro.jp/

成分と肉含有量の分析

ワイルドレシピ 成犬用 チキン は原材料だけで判断すると平均以上のドッグフードに見えます。

しかし、原材料の品質だけではなく、成分(タンパク質・脂質・炭水化物)と肉の含有量も評価を下すために重要です。

ラベルの分析で乾物基準はタンパク質が36%、脂質が18%、推定炭水化物が36%と判明しました。

脂質とタンパク質の比率は約50%です。

一般的な成犬向けのドライフードと比較するとタンパク質は平均以上、脂質は平均以上、炭水化物は平均以下。

えんどう豆、乾燥ポテト、エンドウタンパク、亜麻仁、アルファルファミールで総タンパク質を増加させることを考えても、このドッグフードは大量の肉を含んでいるように見えます。

最終評価

ワイルドレシピ 成犬用 チキン は動物性タンパク質の供給源として大量のチキンミールを使用した穀物を含まないドライフードです。星4の評価を下しました。

とてもおすすめします。

ニュートロはアメリカ産ですが、ワイルドレシピは日本独自製品です。製品概要を確認するときに本国のサイトも見るのですが、アメリカにはワイルドレシピがありませんでした。

こういう製品は要注意で製造ラインがアメリカで販売している製品とは違うので日本の法律に合わせて原材料のランクを落としたりする場合があります。でも、ニュートロは日本向けブランドサイトのニュートロジャパンで原材料について説明があるので安心しました。

ワイルドレシピのドライはすべて超小型犬・小型犬用です。乾物タンパク質は33.3〜37.7%(子犬除くと上限は35.5%)、脂質は17.8〜20%です。エンドウタンパクといったかさ増しを考えても一般的なドライと比べると高タンパクですね。小型犬専用フードの乾物タンパク質の平均が30.1%(2021年12月時点、いぬわーんで集計)なので小型犬向けなのを考えてもやや高めです。

ドライはミートファーストで第一原材料が生肉です。これは素晴らしいことだと思いますが、第二原材料が1つの製品を除いてすべてチキンミールなのですよね。例えばワイルドレシピ ラムでも2番目がチキンミールです。つまりこれって、製品名の動物性タンパク質が第一タンパク質になってはいるものの、実際のタンパク質含有を占めているのはチキンミールなんですよね。もしかするとこれが低コストの秘密なのかもしれません。

ワイルドレシピにはウエットもあります。ウエットは総合栄養食ですが、ドライと併用をおすすめしていて同じニュートロのシュプレモ ウエット カロリーケアのように併用することでカロリーダウンしつつも、必要な栄養素をきちんと摂取できるように設計されています。

ウエットは生肉とレバーが入っていて内容物は概ね良いですね。しかし、リニューアルで改悪された部分があります。前はチキンエキスだったところが肉類エキスに変更されています。肉類エキスはどの製品にも必ず入っています。肉類エキスのような名称はパッチごとに何を使うか自由に変更できるので良くないです。他の原材料を見ているとそんなに悪いものじゃないと思うのに残念です。

そしてドライでもでしたが、ウエットにはチキンがたくさん入っています。入っているのが悪いわけではないですよ。ただ、ワイルドレシピ ウエット ターキーはチキンも鶏レバーも卵も入っています。これはターキー&チキンでは?と思うし、ワイルドレシピ ウエット ターキー&ラムにもチキンが入ってるし、何ならラムよりチキンのほうが多く入っています。名前だけ見て判断するのは良くないフードだと感じました。

ワイルドレシピは総合的に見てウエットは肉類エキスのような原材料が含まれているので評価を星3に落としていますが、ドライのほうは植物性タンパク質が含まれてはいるものの、その他の原材料・成分を見る限り悪くはないので星4と評価しました。ただ、クエン酸が入っている点だけ注意が必要かなと思います。

グレインフリーと心臓病の潜在的な関係性

アメリカ食品医薬品局 (FDA) は2019年6月27日にグレインフリー (穀物を含まない) と拡張型心筋症との潜在的な関係について3回目の調査状況を発表しました。

詳しくは「FDAがグレインフリーと心臓病との潜在的な関連性を調査対象にする」をご覧ください。

おわりに

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