ペットフードの表示に関する公正競争規約(以下、公正競争規約)とは商品の裏側にある製品ラベルの表示方法を定めた自主基準です。
例えば「内容量を書きなさい」、「成分を書きなさい」など製品ラベルに書き込む項目を定めています。
この目的は、業者間で過大広告などの争いを無くすこと、消費者に分かりやすい製品ラベルであることが狙いです。
公正競争規約はペットフード公正取引協議会が消費者庁及び公正取引委員会の承認の下に作成しています。[1]
ペットフード安全法と公正競争規約の違いは何ですか?
ペットフード安全法と公正競争規約の違いは何ですか?
ペットフード安全法は国の法律であり、公正競争規約は業界のルール(任意)です。
ペットフード安全法は必ず守らなければいけませんが、公正競争規約は自主的なルールなので守らなくても罰則はありません。
しかし、公正競争規約は一般的な社会のルールにまで浸透しており、非会員社も含めてほとんどの業者が公正競争規約に則っています。[2]
ペットフード公正取引協議会の会員社は、平成19年5月の時点で46社であり、会員の取扱量は国内販売量の90%以上を占めています。[3]
読者に知っておいてほしい公正競争規約のルール
読者に知っておいてほしい公正競争規約のルールは以下の3つです。
- 総合栄養食の表示義務
- 9つの表示義務
- 原材料の重量順の表示義務
1.総合栄養食の表示義務
公正競争規約施行規則(以下、施行規則)ではドッグフードの目的によって以下の使用用途で分類し、使用用途が分かるように製品ラベルに明記することになっています。[4]
- 総合栄養食
- 間食
- 療法食
- その他の目的食
総合栄養食は毎日の食事として与えることを目的とし、総合栄養食と水だけで総合栄養食の指定する成長段階の健康を維持できる栄養バランスを含んでいるドッグフードのことです。
健康を維持できる栄養バランスの定義は施行規則の定める栄養成分等を満たすことが基準となっています。
施行規則の定める総合栄養食を証明する基準はAAFCO(米国飼料検査官協会)の分析試験による栄養基準、または給与試験プロトコールに基づいています。[5]
施行規則で総合栄養食を表示する場合はドッグフードが適用する犬の成長段階を併記することになっています。[4]
犬の成長段階は以下の4つに分類されます。
- 妊娠期/授乳期
- 幼犬期/成長期又はグロース
- 成犬期/維持期又はメンテナンス
- 1~3まで全てを満たすものは「全成長段階/オールステージ」と分類されます
犬に与える毎日の食事は「総合栄養食」と「犬の成長段階」を目印に購入しましょう。
成長段階の定義はありますか? 何歳から何歳まで?
犬の成長段階の定義はありますか?
いいえ、ありません。犬の成長は個体差があるのですべての犬に当てはまるような成長段階の指標はありません。
しかし、一般社団法人ペットフード協会によると一般的には以下のような年齢別のライフステージに分けられます。[6]
- 妊娠期/授乳期:生後4週齢前後まで
- 幼犬期:生後8週齢前後まで
- 成長期:1歳まで(大型犬は1歳半、超小型犬は10ヶ月齢)
- 成犬期:1歳から6~8歳前後まで
- 維持期:6~8歳以降
大型犬の子犬はカロリーの過剰摂取で股関節形成不全の危険性があります。
そのため与えるドッグフードは成長段階が成長期またはオールステージのいずれかに該当し、さらに「大型犬の成長を含む」と書いてあるものを選んでください。
より詳しくは「大型犬の子犬におすすめのドッグフードと股関節形成不全の手助けのヒント」をご覧ください。
2.9つの表示義務
ペットフード安全法は必ず守らなければいけない5つの表示義務があります。それはペットフードの名称、賞味期限、原材料名、原産国名、事業者名及び住所です。[7]
公正競争規約では別に4つの表記義務があります。以下はペットフード安全法と公正競争規約を合わせた9つの表示義務です。[1]
- ペットフードの名称
- ペットフードの目的
- 内容量
- 給与方法
- 賞味期限
- 成分
- 原材料名
- 原産国名
- 事業者名及び住所
表示義務の1つ、ペットフードの目的とは、どういう目的で与えるのかを意味し、総合栄養食・間食・療法食・その他の目的食のことを指しています。
毎日の食事として与えるなら総合栄養食と書かれたドッグフードを与えるようにしましょう。
成分とは、主要な栄養素(タンパク質・脂肪・粗繊維・灰分・水分)をパーセントで表示することを意味しています。炭水化物の表示義務はありません。
成分は乾物基準で肉の含有量を分析するときに使える項目です。乾物基準に置き換えるとドライタイプ、ウェットタイプなどの異なる種類のドッグフードを公平に比較することができます。
3.原材料の重量順の表示義務
公正競争規約は原材料名の表示の仕方について使用量の多い順に記載すると定めています。[4]
ペットフード安全法でも重量順の記載は強制ではないものの、消費者に分かりやすい情報提供の観点から原則、多い順が望ましいとなっています。[7]
原材料を見れば、そのドッグフードに多く使われている食材が分かり、犬にとって好ましいドッグフードなのかを判断できます。
脚注
*1 「ペットフードの表示に関する公正競争規約」 (平成28年11月22日) 公正取引委員会,消費者庁 告示第10号
*2 「表示のQ&A」, ペットフード公正取引協議会, 2019年6月26日閲覧
*3 ペットフードの安全確保に関する研究会 「ペットフードの安全確保について(中間とりまとめ)」, (平成19年11月)
*4 「ペットフードの表示に関する公正競争規約施行規則」, (平成27年7月14日), 公正取引委員会,消費者庁 承認
*5 「ペットフードの表示について」, ペットフード公正取引協議会, 2019年6月26日閲覧
*6 「ペットフードの種類」, 一般社団法人ペットフード協会, 2019年6月26日閲覧
*7 農林水産省, 「ペットフード安全法 表示に関するQ&A」