乾物基準はドッグフードの水分を0パーセントにした状態での栄養素の量です。
ドックフードの水分が完全に除去された状態は今まで水分が占めていた成分の割合が消え、代わりに栄養素のみで成分が構成された状態になります。
そのため乾物基準を使えばドッグフードに含まれるタンパク質、脂質および炭水化物の正確な量を測ることができます。
乾物基準の計算方法
乾物基準は簡単な計算式で求めることができます。
製品ラベルにかかれた成分保証の項目を計算式に当てはめるだけです。
例として乾物タンパク質含有量を調べる場合だと以下の計算式になります。
脂質を求めるときは保証されたタンパク質を脂質に置き換えるだけです。
この計算式はドッグフード以外の食品にも使えます。
乾物基準はなぜ必要ですか?
乾物基準はドッグフードを同じ基準で平等に比較するために必要です。
ドッグフードの成分を比較するときドライタイプとドライタイプなら同じ乾燥した状態なのでそこまで乾物基準は重要ではありません。
しかし、ドライタイプとウェットタイプを比較するとき乾物基準がなければ水分量が大きく異なるため正確に比較することができません。
ドライタイプとウェットタイプが正確に比較できないのを見るために次の一例を見てみましょう。
ここではカナガンのドライタイプとウェットタイプを比較するとします。編集時点で実在する商品です。
ウェットタイプの保証されたタンパク質は10%です。一方でドライタイプは33%のタンパク質が保証されています。
一見するとドライタイプは3倍以上のタンパク質を含んでいるように見えます。
しかし、ここで乾燥基準を用いて栄養素の正確な量を測ってみましょう。
製品ラベルの成分保証にはウェットタイプの水分含有量が75%であり、ドライタイプはわずか8.5%と記載してあります。
さて、乾物基準を求める計算式を利用して、両方のドッグフードから水分をすべて取り除きましょう。
以下は、乾物基準に置き換えた後のタンパク質と脂質です。
成分保証 | ||
栄養素 | ドライ | ウェット |
タンパク質 | 33% | 10% |
脂質 | 17% | 7% |
繊維 | 3.5% | 0.5% |
水分 | 8.5% | 75% |
乾物基準 | ||
栄養素 | ドライ | ウェット |
タンパク質 | 36% | 40% |
脂質 | 19% | 28% |
繊維 | 4% | 2% |
水分 | 0% | 0% |
乾物基準のウェットタイプは40%のタンパク質含有量を示しています。一方でドライタイプは36%のタンパク質含有量です。
成分保証の段階ではドライタイプはウェットタイプよりも3倍以上のタンパク質を含んでいるように見えましたが、乾物基準に直すとウェットタイプのほうがタンパク質をより多く含んでいます。
まとめ
成分保証ではウェットタイプはドライタイプよりもタンパク質含有量が劣っているかのように見えます。
しかし、乾物基準でドライタイプとウェットタイプを比較した結果から分かるように事実は異なります。
ドッグフードの製品ラベルのタンパク質や脂質の成分保証に騙されてはいけません。
ドッグフードの栄養素を比較するときは成分保証を乾物基準に置き換えて、同じ条件にすると栄養価を適切に評価することができます。
脚注
*1 CJ Puotinen, “Calculating a Dog Food Diet’s Protein, Fat, Carbs, and Fiber”, whole dog journal, (April 18, 2019), 2019年6月29日閲覧