ドッグフードを選ぶときはタンパク質含有量の多いものを選びがちです。しかし、必ずしも高タンパク質が有益であるとは限りません。
例えば、羽毛・クチバシ・蹄はどう思いますか? これらの身体部位はタンパク質を多く含んでいます。
消化性必須アミノ酸スコア (DIAAS) の低い食材は犬にとって品質の良いタンパク質とは見なされません。
タンパク質で重要なのは必須アミノ酸をバランス良く摂ることであり、どれだけタンパク質を摂るかではありません。
高タンパク質は高品質を意味しないかもしれない
ドックフードのラベルには「粗タンパク質」の割合が表示されています。これは総タンパク質含有量の値です。
しかし、用心してください。タンパク質の割合は保証されていても、タンパク質の品質は保証されていません。
タンパク質は20種類のアミノ酸で構成されており、食材によってアミノ酸の量が異なります。例えば動物性と植物性のように。
犬には必須アミノ酸と非必須アミノ酸があります。10種類の非必須アミノ酸は体の中で作ることができます。必須アミノ酸は体の中で作れないのでドッグフードを介して与えなければいけません。[1]
タンパク質の品質を評価する方法はPER、BV、PDCAASなどいくつかの方法がありますが、2013年以降の好ましい方法としてFAOが消化性必須アミノ酸スコア (DIAAS) を推奨しています。[2]
DIAASはタンパク質の品質を測定する新しい評価方法で従来のPDCAASより計算ロスが少ないのが特徴です。
タンパク質のDIAASが高いほど品質が良く、犬にとって有益です。
DIAASがよくわからない場合は従来の評価方法でも大まか傾向は同じなのでもっと古い評価方法の「生物学的価値 (BV) 」の言葉を使えば一つ一つの漢字の意味で何となくタンパク質の品質の意味が察せるかと思います。
ドッグフードによく見られる材料のDIAAS
次の表を見てください。これは一般的なドッグフードに含まれていることがある材料のDIAASです。[2,3,4]
DIAASが 75 - 99% だと良好なタンパク質品質であると見なすことができます。100%以上 だと優れたタンパク質品質、75%以下は優れないタンパク質品質です。
タンパク質 | DIAAS |
牛乳 | 114 |
卵 (ゆでたまご) | 113 |
牛肉 | 111 |
鳥の胸肉 | 108 |
大豆 | 99 |
ヒヨコ豆 | 83 |
小麦ふすま | 48 |
大麦 | 47 |
とうもろこし | 42 |
小麦 | 40 |
おわりに
ドッグフードを購入する際はラベルの原材料を確認して、その製品の主要なタンパク質源の品質を確認してください。
DIAAS表では動物性タンパク質が植物性タンパク質よりも高いDIAASを示しているので、主要なタンパク質だと思われる原材料は動物性タンパク質のものを選ぶのが賢い選択です。
脚注
*1 Royalcanin, 「タンパク質 (アミノ酸) | 犬と猫の栄養成分辞典」
*2 FAO (2013), Dietary protein quality evaluation in human nutrition, FAO Food and Nutrition Paper 92
*3 Cambridge Core, An approach to including protein quality when assessing the net contribution of livestock to human food supply
*4 Stuart M. Phillips, Current Concepts and Unresolved Questions in Dietary Protein Requirements and Supplements in Adults, (08 May 2017), Frontiers