アーテミス H.I.T. ドッグフードの批評(ドライ)

2021年12月5日

アーテミス H.I.T. ラム&ポーク 中粒

アーテミス H.I.T. ドッグフードはいぬわーんで最高評価の5つ星を獲得しました。

評価:

アーテミス H.I.T. ドッグフードは全部で3種類あります。以下はその3種類と評価をまとめた表になります(キブルサイズが異なるラム&ポークは一つにまとめています)。表の成長段階に書いてある記号はそれぞれの頭文字を取ったもので【G=子犬、M=成犬・老犬、A=オールステージ、U=不明】の意味があります。

また、ここでは3種類を代表してアーテミス H.I.T. ラム&ポーク 小粒/中粒を批評していきますが、他の種類の批評が見たい場合は表中の内部リンクを利用してください。

製品評価成長段階
アーテミス H.I.T. ラム&ポーク 小粒/中粒5A
アーテミス H.I.T. チキン&ロブスター 小粒5A

原材料とラベルの分析

アーテミス H.I.T. ラム&ポーク 中粒

製品サイズ:2.7kg / 11.3kg

アーテミス H.I.T. ラム&ポーク 小粒/中粒

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ドッグフードを選ぶ際には原材料に書かれた上から最初の10品目を見てください。原材料の表示は原則、重量順です。つまり、最初に書いてあるものがもっとも含有量が多いのです。

原材料:ラム, ドライラム, ポーク, ドライチキン, 全粒大麦, キヌア, 全粒オーツ麦, フラックスシード, ひまわりオイル(混合トコフェロールとビタミンEによる保存処理), にしんオイル(混合トコフェロールとビタミン E による保存処理), ドライニシン, 天然風味料, 塩, DL メチオニン, 塩化カリウム, セレン酵母, 硫酸鉄, 硫酸亜鉛, L-アスコルビル-2-ポリリン酸(ビタミン C 源), 緑イ貝, ココナッツパウダー, チコリ根, パンプキン, ユッカシジゲラエキス, 硫酸銅, バチルス・リケニフォルミス, バチルス・サブティリス, 硫酸マンガン, ナイアシン, パントテン酸カルシウム, ビオチン, リボフラビン, ビタミンA, チアミン硝酸塩, ビタミン B12, ピリドキシン塩酸塩, ビタミン D3, ヨウ化カルシウム, 葉酸, ドライローズマリー, リンゴ, 人参, グリーンティ, ほうれん草, ブルーベリー, クランベリー

赤字は物議をかもします。

粗灰分=9%以下, 粗繊維=4%以下 (推定乾物繊維量=4.4%), 水分=10%以下

測定方法タンパク質脂質炭水化物
保証分析値38.0%20.0%NA
乾物基準42.2%22.2%25.5%
熱量基準35.9%46.0%18.0%

このドッグフードの1〜4番目の原材料はラム, ドライラム, ポーク, ドライチキンです。

ラベルには書かれていませんが、アーテミス製品はすべてフレッシュ食材が使われているのでラムとポークは新鮮な生肉(冷蔵保存された)です。冷凍保存されたお肉と比べると品質が良く、嗜好性が高い良質な食材です。

ドライラムとドライチキンは乾燥肉ではなく、実はミートミールが使われています。これについては総輸入代理店に説明があります。また、英語公式サイトで確認してもミートミールになっています。つまり、ドライラム=ラムミール、ドライチキン=チキンミールです。

ミートミールは印象が良くないのでドライラムのような別の表現が使われていますね。表示的には問題ないので何とも言えませんが...でもね、店舗で手に取ったり、ECサイトで確認したときにドライラムと書いてあれば普通は乾燥ラムと考えますよ。それを分かった上でやっているから総輸入代理店ではドライ○○はミートミールだと説明しているので確信犯ですよね。印象を良くするための名称変更が逆に印象を悪くしています。

原材料は重量順で書かれるため、このフードに一番多く含まれているのはラム肉なのが分かります。しかし、生肉は約7割が水分で残りの3割がタンパク質です(もちろんその他の成分も入っています)。対してミートミールは乾物でそのほとんどがタンパク質です。水分量を考慮してタンパク質の含有量を考えると生肉よりミートミールのほうが多く含んでいます。

ラム, ドライラム, ポーク, ドライチキンの順で並ぶ原材料を見ると、おそらくこのフードのメインの動物性タンパク質はミートミールになると推測できます。

このフードの10品目より下にはニシンミールも入っています。このフードには4種類の動物性タンパク質が使われています。

5番目の原材料は全粒大麦です。

全粒大麦は食物繊維を豊富に含む炭水化物源です。大麦の水溶性食物繊維にはβ-グルカンがとても多く含まれており、食後血糖値の上昇やコレステロール値を低下させる作用があります。

6番目の原材料はキヌアです。

キヌアは穀類/玄穀でアワやキビと同じ雑穀のグループに属しています。穀物の中に雑穀は含まれていますが、一般的にペットフードにおける穀物はイネやムギなどの主穀のみを指しているので、キヌアは擬似穀物と呼ばれています。

キヌアは当然ですが穀物と栄養素が似ており、小麦や白米よりタンパク質、食物繊維、ビタミンB群、ミネラルが多いことからスーパーフード(完全食)とも言われています。

7番目の原材料は全粒オーツ麦です。

オーツ麦は全粒穀物の一つでお米で言う玄米です。糠や胚芽が残っているのでビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富でとても栄養豊富な炭水化物源です。食物繊維にはβ-グルカンが多く含まれています。

このフードの炭水化物源(大麦、オーツ麦、キヌア)には低GI食材が使われています。この選択は偶然ではなく、低GIを意識して選ばれたのでしょう。低GIの食材は食後血糖値を安定させてインスリンの分泌をコントロールし、脂肪を体に溜め込みにくいようにします。その結果、肥満や糖尿病の予防に繋がります。

また、このフードには全粒穀物とキヌア、亜麻仁、野菜・果物といった食物繊維の源になる食材が多く含まれています。しかし、乾物繊維量を確認すると多くはないですね。炭水化物の量が少ないので繊維量も抑えられたのでしょう。

8番目の原材料はフラックスシードです。

フラックスシードは日本では亜麻仁と呼ばれています。亜麻仁は種実類で亜麻と呼ばれる花の種子です。この種子の油脂には必須脂肪酸のオメガ3脂肪酸(α-リノレン酸)が豊富に含まれています。α-リノレン酸は体内で同じオメガ3脂肪酸のDHA,EPAに変換されて利用されます。この変換時には損失があり、上手く変換できない犬も存在するのであまり効率の良い供給源としては見なせません。種子には植物性タンパク質と食物繊維も多く含まれており、食物繊維は水溶性と不溶性がバランス良く含まれています。

9番目の原材料はひまわりオイル(混合トコフェロールとビタミンEによる保存処理)です。

ひまわりオイルは原料となるひまわり種子の品種によって3種類に区分されます。この3種類は簡単に言うとオレイン酸またはリノール酸が高いものに別れているので、一般的には必須脂肪酸のリノール酸が多く含まれるひまわりオイルが使われていると推測されます。

オイルは酸化しやすいことから酸化防止剤が使われています。原料の段階での保存料は書く必要がないのですが、情報の透明性を考える企業は書く傾向が高いです。

10番目の原材料はにしんオイル(混合トコフェロールとビタミンEによる保存処理)です。

ニシンオイルはオメガ3脂肪酸(DHA,EPA)の供給源です。

ここまで原材料をリストの上から順番に見てきました。この製品には他にも多くの原材料が含まれていますが、これよりも下に位置する原材料は評価に影響を与えそうにありません

ただし、5つの例外があります。

まず、DLメチオニンです。

メチオニンは必須アミノ酸の一つです。このフードはメインの動物性タンパク質がミートミールです。ミートミールは高温で加熱して製造されるため、タンパク質の変性(壊れる)が起きます。そのため、壊れたタンパク質を補う目的として加えられていると考えます。

次に、緑イ貝です。

緑イ貝は抗炎症性があるオメガ3脂肪酸(DHA,EPA)と軟骨の水分を保持してクッション性や柔軟性を保つコンドロイチンが豊富に含まれています。また、二枚貝なので亜鉛などミネラルの優れた供給源です。

次に、ココナッツパウダーです。

ココナッツのほとんどが飽和脂肪酸で、その中でも中鎖脂肪酸が多くを占めています。中鎖脂肪酸は肝臓で素早く分解され、すぐにエネルギーとして使える特性があります。そのため、高エネルギーが必要な成長期や食欲が落ちた老齢期に向いています。このフードは成長段階がオールステージ向けなので理に適った食材だと言えます。

次に、プロバイオティクスとプレバイオティクスです。

腸内環境を整えたり、免疫機能を強化する善玉菌(プロバイオティクス)と善玉菌によって発酵されて短鎖脂肪酸を産生する水溶性食物繊維(プレバイオティクス)が含まれています。

前者はバチルス・リケニフォルミスとバチルス・サブティリスです。これは善玉菌の名前です。後者はチコリ根です。チコリ根の主成分はイヌリンと呼ばれる水溶性食物繊維です。短鎖脂肪酸は腸内の環境を弱酸性にして悪玉菌の増殖を防いで善玉菌の増殖を促します。また、腸内の炎症を抑える効果などがあります。

最後に、野菜と果物です。

野菜と果物は必須栄養素ではないものの、健康促進であったり、抗酸化性、免疫機能の強化などの効果がある機能性成分を含んでいます。

パンプキン、人参、ほうれん草は緑黄色野菜です。緑黄色野菜の特徴はβ-カロテンを豊富に含んでいることです。β-カロテンは必要量に応じて体内でビタミンAに合成されるほか、使われなかった分は抗酸化作用や免疫賦活作用があります。

リンゴ、ブルーベリー、クランベリーは抗酸化作用のあるポリフェノールを含んでいます。リンゴにはプレバイオティクスになるペクチンと呼ばれる水溶性食物繊維も含まれています。

アーテミスの食材はフレッシュ食材なので生野菜、生果物で水分が多いです。パンプキンを除けば原材料の最後に書いてあるので機能性成分は少量になるでしょう。


アーテミス H.I.T. ドッグフードの特徴

アーテミス H.I.T. ドッグフードの製品情報はラベルを見ると分かります。でも、製品の品質や安全性、消費者に対する情報提供の意識に関しては公式サイトまたは日本の輸入代理店で確認しなければ分かりません。一見これらは大切ではないように思えますが、日本ではドッグフードの扱いは ”雑貨” です。食品ではないので適切な製造業者なのかを見極めるために公式サイトまたは輸入代理店に記載されている情報を確認しておきましょう。

  • H.I.T.製法(ヒート アイソレイト テクノロジー)を採用し、パッケージを新しくして保存期間が長くなりました。
  • じゃがいも、えんどう豆は不使用。
  • 珍しいタンパク質(ロブスター)を使った製品があります。
  • 高タンパク・高脂質・低炭水化物(乾物タンパク質42.2%、乾物脂質22.2%)。
  • 小麦、大豆、コーンは不使用
  • 肉副産物・人工保存料・着色料は不使用
  • 原材料にはすべて冷蔵保存されたフレッシュ食材(肉・野菜)を使用しています。
  • 原材料は人間の食品基準で厳選されています。
  • 原材料の産地は英語公式サイトにて公開しています。中国産原料不使用。
  • 製造工場については記載がありません。

参照:https://kmt-dogfood.com/
https://artemiscompany.com/


成分と肉含有量の分析

アーテミス H.I.T. ラム&ポーク 小粒/中粒は原材料だけで判断すると平均以上のドッグフードに見えます。

しかし、原材料の品質だけではなく、成分 (タンパク質・脂質・炭水化物) と肉の含有量も評価を下すために重要です。

ラベルの分析で乾物基準はタンパク質が42%、脂質が22%、推定炭水化物が26%と判明しました。

脂質とタンパク質の比率は約53%です。

一般的なオールステージ向けのドライフードと比較するとタンパク質は平均以上、脂質は平均以上、炭水化物は平均以下。

植物性タンパク質を多く含む原材料は亜麻仁だけなので、このドッグフードは大量の肉を含んでいるように見えます。

最終評価

アーテミス H.I.T. ラム&ポーク 小粒/中粒は動物性タンパク質の供給源として大量のラムミールを使用した穀物を含むドライフードです。星5の評価を下しました。

とてもおすすめします。

H.I.T.はアメリカだと5種類ありますが、総輸入代理店では3種類だけ取り扱っています。H.I.T.の特徴は製造方法と高タンパク・高脂質なところです。

H.I.T.はヒートアイソレートテクノロジー(略してHIT)という製造方法から名前がきています。この製造方法を調べてみると「真空状態で低温調理して栄養素をキブルにしっかり吸収させる」と説明されていますが、要約するとペットフードの保存期間を長くする製法です。製造時に加圧してキブルの中にビタミン、ミネラル、オイル、プロバイオティクスを押し込み、(酸化は表面から始まるから)上記の栄養素が酸化しにくいペットフードにしています。また、H.I.T.は「パッケージにエアバルブを採用して従来品より長期保存が可能」と書いてあるのでさらに長期保存ができるのでしょう。

しかし、検証データやどれくらい保存期間が伸びるのか一切詳細が書いてありません。英語公式にもありません。総輸入代理店にもありません。正直、情報が少なすぎて「へぇー」ぐらいの感想しかありません。「保存期間が伸びました」では正直、消費者からすると代理店の在庫次第で短くもなるし、長くもなるし、今までと何ら変わらない気がします。特に日本で買う場合は輸入するわけですしね。H.I.T.製法は「そうなんだ🤗」ぐらいで聞き流してよさそうです。

それからH.I.T.は「タンパク源の85%は肉・魚類、残りの15%は野菜や果物など」と書いてあります。原材料を見るとコーングルテンミールなどの植物性タンパク質は含まれていないのでお肉がたっぷり入っているのは間違いないでしょう。

「じゃがいもやえんどう豆は使用していません」とも書いてありますが、これはDCM騒動(アメリカで拡張型心筋症の発生率が低い犬で多発した騒動)を意識しているのだと思います。H.I.T.はDCM騒動後に発売されています。2020年8月頃。DCM騒動では、拡張型心筋症を起こした犬が食べていたフードの統計を取ったところグレインフリーが多く、さらにポテトと豆が入っているという共通点がありました。だからポテトとえんどう豆は入っていないとアピールしているのでしょう。あまり見かけませんもんね、ポテトと豆抜きの表示は。H.I.T.ではポテトと豆の代わりに炭水化物は大麦、オーツ麦、キヌアが使われています。低GIで良質な炭水化物源ですね。ただ、大麦は小麦と交差反応があるので小麦アレルギーの犬には注意されたし。

H.I.T.には珍しいタンパク質のロブスターを採用した「H.I.T. チキン&ロブスター 小粒」もあります。珍しいタンパク質源はアレルゲンを避ける目的があるはずですが、メジャーなチキンも入っているし、全部でタンパク質源が4種類も入っています。アレルゲン対策でなければわざわざロブスター(甲殻類)を選ぶ必要があるのかな?と思います。ロブスターが仕入れやすかったのかな?残念ながらどういう意図でロブスター入りのフードが作られたのか分かりませんが、アレルギーがないのなら犬が昔から食べてきた実績あるタンパク質源を与えたほうが安心安全だと思います。

H.I.T. ラム&ポークの小粒・中粒はキブルのサイズだけ違います。どちらも成分値と原材料は同じです。

アーテミスは実績のある企業でアメリカの権威ある犬の専門雑誌 Whole Dog Journalでは優秀と評価されています。アメリカで優秀とされているから日本では良いとは限りませんが、総輸入代理店が存在し、WEBサイトがしっかりしていて悪いフードには見えません。WEBサイトに力を入れていないと情報が伝わりません。ただでさえドッグフードは色々と粗悪な物があるなどと囁かれているので透明な情報を開示していることは消費者に対して安心感を与えるし、万が一リコールが起きたときの対応も代理店がしっかりしているところは早いです。H.I.T.は高タンパク・高脂肪・高カロリーを特徴するドッグフードでおすすめです。

グレインフリーと心臓病の潜在的な関係性

アメリカ食品医薬品局 (FDA) は2019年6月27日にグレインフリー (穀物を含まない) と拡張型心筋症との潜在的な関係について3回目の調査状況を発表しました。

詳しくは「FDAがグレインフリーと心臓病との潜在的な関連性を調査対象にする」をご覧ください。

おわりに

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